2023.07.03

Webデザイナーになるために必要なこと

「Webデザイナーを目指して学んだけど、Webデザイナーとしてなかなか就職できない」方を多く見ます。

おかげさまで、卒業生の多くがWebデザイナーとして就職する弊校代表の私の目には、そういう方々は戦略を間違っているように映ります。

「Webデザイナー 必要なこと」という検索ワードで調べてみました。

・デザイン力
・デザインソフト(Illustrator、Photoshopのスキル)
・コーディング
・プログラミング
・ビジネススキル
・マネジメントスキル
・自分でスキルを磨く方法
・資格
・企画力
・WordPress
・UIデザイン/UXデザイン
・コンセプト設計
・コミュニケーション能力

無限にあります…。
プロでもそれら全てをできる人は限りなく少ないのでは…。
トータルでできればできるほど、ひとつひとつのレベルは浅くなりがちなはず。

なのに、就職を目指す方は全部を身に付けようとする。

結果的に、ひとつひとつが未経験者に毛が生えたぐらいのレベル、採用に値しないレベルになりがち。

プロの言う「できる」と、プロじゃない方の言う「できる」はおそらく全然レベルが違います。

ということで、弊校で行っている戦略を。

(ただ、10戦10勝というわけではないです。採用企業によって重視する点は異なります。ですが、どこかにヒットすればいいのです。)

デザイナーに絶対的に必要なスキル

デザイン力でしょう。

(そこで勝負していないWeb制作会社もあります。そういう企業からは高評価はされないかもしれません。)

上流やら下流やら言いますが(詳しくは各自調査)、ほとんどの新人デザイナー方に求められるのは、最終アウトプットの部分かと思います。

私達デザイナーのお仕事は情報を整理し、色と形のロジックで伝達しないといけません。

よりわかりやすく、より効果的に。

全くゼロの状態の方を雇用して、その方の成長を祈るのは雇用側としてリスクが高すぎるのです。

指示を出したら「ある程度」作れる状態じゃないと採用しづらいのです。

なのですが、ほとんどのデザインスクール(オンライン、クラス制に関わらず)は「デザインの4原則…近接、整列、反復、対比」までしか伝えません。

それらを身につけるための反復練習はほとんどカリキュラムに含まれません。

結局は「スクール入学時点で勘が鋭い人」しか、Web制作会社の採用に値する能力は身につかないのが現状かと思います。

デザイン教育の有無を確かめる方法

スクール入学前に「デザイン教育の有無」について確認し、具体的な内容を確認するべきです。

どのような理論か?
どのような講師か?
どのように感覚を身に付けていけるのか?

次に「平均レベルぐらいの生徒の方の制作物」を見せてもらうべきです。

ほとんどのスクールは「過去イチ優秀だった生徒の方の制作物」を卒業生の実績として見せてくれるはずです。

「どこで学んでも、持ち前の勘、頭脳、精神力で成し遂げてしまう人」の実績を見ても、自分がそのタイプじゃない限り、無意味です。

デザインの良し悪しを判断するのは難しいのかもしれませんが、「普段自分が目にするWebサイトと比較してどうか?」を見るしかないです。

その差すらわからないとすれば、その時点でこの業界で働いて一人前になっていくまでには時間はかかると思います(無理だとは思いませんが、何らかのきっかけが必要だと思います)。

Webコーディングは必要?不要?

私は「できた方がいい」という考えです。

地域差がありそうですが、Webデザイナーには

①Webデザインのみ
②Webデザイン+コーディング

①と②の2パターンがあります。

弊校の卒業生は、大阪という土地柄か①の制作会社に入社される方が多いです。
「就職してから、全くコードを書いてません…」とよく聞きます。

ですが、コーディングを学んだ方々は、Webデザインを行うときの「できること」「できないこと」「すべきこと」「ダメなこと」等を理解して行うので、全くコーディングを行ったことがない方よりかは、数歩先をいっているのではないでしょうか。

私は広告デザインはできても、車のデザインはできません。

車が走る理屈、求められる条件等々を全く理解していないからです。

ただ、現実問題として①で「コーディングは全くわからない」Webデザイナーが現場に多いのは事実です。

なので、「Webデザイナーになるために絶対的にWebコーディングは必要か?」と問われると、現状イエスとは言えません。

ただし、②の会社に入社しようとするなら、Webコーディング必須ですね。

「Webデザイナーへの就職の可能性を上げる」を考えるなら、Webコーディングを学んでおいて損はないと思います。

必要なデザインソフトスキルは?

・Figma
・XD
・Photoshop
・Illustrator

「全部マスターせねば!」との発言と共に就活で苦しんでる方を何度か見たことあります。

現場を経ずにプロレベルで「マスター」にはなるのは難しいでしょうし、プロでも全てを使いこなす方は希少ではないでしょうか。

「今回、Figmaの案件来た〜。Figma覚えな…。」的に新たなソフトを使わないといけない状況になり、必然的に使っていく。

その回数が増えれば増えるほど、より操作力は上がるでしょうし、そうじゃなければ、そんなに必要でもない。

Figma、XDはここ数年に使用機会が増えたWebデザインソフトです。

ということは、今年、来年、数年後には新たなWebデザインソフトが出てくる可能性はありますし、その度に私達は新たなWebデザインソフトにチャレンジしないといけません。

Photoshop、Illustratorはそれらを使ってWebデザインもできますが、部品作成ソフトとしての意味合いが強くなっているのかもしれません。

Photoshop、Illustratorの方がWebデザイン、WebレイアウトソフトであるFigma、XDより取っ掛かりに覚えるハードルは高いみたいです。

広告デザインは形を変えながらも残っていくと予想しますが、Webデザインがいつまで今の需要や形を維持していくかは不明です。

紙、Webと媒体問わずに詳細なデザインを可能にするPhotoshop、Illustratorは「デザイナー」という職種を目指すなら必須条件かと思います。

今後、それに変わるデザインソフトが出てくるかもしれませんが、その時はそのデザインソフトを覚えるしかないです。

ただ、「新しいソフトが、今のソフトより使い勝手が悪い」ということは想像し難いので、今のPhotoshop、Illustratorを使えてたら、難しくは感じないのではないでしょうか。

と書くと、「Figma、XDは不要」と書いてるように見えるかもですが、そういうわけではなく、興味・好奇心を持って「Figmaでつくってみました」「XDでつくってみました」とチャレンジできる方の方が、企業からの評価は高いはずです。

「新たな学びがめんどくさい人」と、「新たな学びが楽しい人」とでは、その後の実力に大きな差がつく可能性は高いですし。

あとの能力は不要?

・プログラミング
・ビジネススキル
・マネジメントスキル
・自分でスキルを磨く方法
・資格
・企画力
・WordPress
・UIデザイン/UXデザイン
・コンセプト設計
・コミュニケーション能力

以上は説明を省いたところです。

独学でやれることはたかが知れてると思います。
それが採用の評価になるとも考えにくいです。

マネジメント、企画、コミュニケーションなどは、その人の資質の部分も大きいと思います。

向いてないのに無理にやろうとするより、自分の強みをどこで活かせるかを考えて、それに基づいた学習であったり、ポートフォリオを作成するのが賢明なのではないでしょうか。

まとめ

ということで何が言いたいかをまとめると

・全部を学ぼうとするな
・最低限のデザイン力を身に付けよう
・コーディングはやっておいて損はない
・Photoshop、Illustratorは使えるように

でした。

Webデザイナーは体力、精神力、知力の中では、知力が一番求められる職業だと思います。

知的に戦略を練って学習計画を立てたいですし、そういう方がWebデザイナーへの道筋が開かれやすいのではないでしょうか。

2023.07.01

ショート動画時代。

ブログを更新せねば、と考えてみる。

どういう目的で誰に何を書くか。

お仕事的に「デザイナーを目指そうか検討している方」に向けて書き、読んでいただくことがいいんでしょう。

が。

しかし。

文章しかり、動画しかり、短くないとダメな時代。

前フリなんかいらんのや、と。

結論だけ、はよ言うてくれたらええんや、と。

スペシウム光線を出すまでにあーだこーだと20分ほど前フリをして辻褄を合わせてくるウルトラマン。

お色気入浴シーンなどを見せながら45分以上もったいぶってから印籠を出してくる水戸黄門。

30分ほど好き放題やられたところで、延髄斬りから卍固めを出してくるアントニオ猪木。

みんな、登場するやいきなりスペシウム光線で怪獣を退治し、宇宙に戻っていくウルトラマンしか見たくない。3分すら長すぎる。

水戸黄門も猪木も、2秒で印籠出して卍固め決めないと、違う動画に切り替えられてしまう時代。

おそらく、私が描くペルソナはすでにこんな文章読んでないんですよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!(初老のおっさん涙)

私、たぶん「経験の浅い方にデザインのことをお教えして、就職できるぐらいにはする」ということにかけては、できる方なんだと思うのです。

他に誰がそんなことしてるのか知らないだけなんですが、私の目には入ってこない。

が。

しかし。

今はキラキラした日常と顔面をインスタで見せながら、「言語化!!」とか言わないといけないんですよ…。

そんなん、朝から夜まで仕事とツイッターしてて、鳥貴族で孤独を満喫してるおっさんの姿、誰が見たいんですか。

顔面でデザインしたり、先生したりしてるんちゃいますわ。
どっちかというと、この顔面でいかに生きていくかをデザインしてきたマイライフ。

「言語化!!」とか、自分で言うのも気持ち悪く…(謙虚)。
国語で受験戦争をどうにかしてきたぐらいの国語力、言語化力はあるんでしょうけど、「うまい具合にいう」だけで仕事してるわけでもないわけで。

いやぁ、どうでもいい話なのに本当に長い。

時代にそぐわない。

これからは五七五とかで情報発信していきます。

さておき。

ショート動画時代という、過程は無視され、結果だけが求められる時代。

そんな時代に時間を重ねて、何かを身に付けれる人の割合は、そうじゃなかった時代よりかなり低いのかなって思います。

その分、「時間を重ねることができる方」と「我慢できない方」の格差は大きく開くと予想。

「技術者」を目指すなら後者では無理でしょう。

パチモンを増殖するだけ。

パチモンが価値がわからない方に、価値があるとして売りつける時代。

詐欺と何が違うんだろ。

デザイナーという技術者を目指す方々には、もっといろんなものを見て、いろいろ考えて欲しい。

でも、ほとんどは無理なんでしょう。

すぐに答えは出てこないから。

2023.06.23

スクールから見える現代社会が抱える課題。

そのまんまのタイトルで我ながら芸がないなと思いつつ、「接点」とかぼかしたタイトルにすると誰も読んでくれないというジレンマ(どっちみち全世界の5人ぐらいしか読んでいないとかはさておき)。

コロナ以後の社会の変遷はこれまで散々書き続けたかと思うので、そこはさておき、その結果として以前より弊スクールに多く集まる方の傾向から、現代社会が抱える課題を考えてみよう、と。

マンツーマンスタイルの授業に興味を持っていただけるのか、社会に参加できない方々も多く来られます。

「就職したことがない」

「働いていない」

20代前半なら、そういう時期もあるのかなと思うのですが、20代後半以上だと社会への不安、恐怖などを抱えてる場合がほとんどだと思います。

「デザイナーとしてのスキルを身に付けて、社会に出れるように」

と一念発起することは素晴らしいことです。

「社会性」という言葉があるように、社会の中で身に付いていく能力があるんだと思います。

・忍耐力
・継続力
・失敗を乗り越える力
・失敗を気にしない力
・人の話を聞く力
・自分の脳内にあることを伝える力
・事の流れから文脈を読み取る力
・社会の「当たり前」への理解
・情報量
・他人の気持ちを考える力
・他人を模倣する力

思いつくままに書きましたが。

社会との接点が少ない方の抱える課題は

「デザイナーとしてのスキル、能力がない」

ではなく

「社会性がない」

です。

デザイナーとしてのスキル・能力はその次のステップだと思います。

①自分の苦手なことに意識を集中してしまう人
②過去の不快な体験に囚われてしまう人

ほとんどが①か②、もしくは両方だと思います。

社会に出ると、そもそも完全な人の方が珍しいことを知れます。
社会に出ると、不快な体験もあるけど、楽しい体験もたくさんあること。不快な体験なしで、楽しい体験だけを積み重ねることは結構難しいことを知れます。

でも、そもそもの「社会に出る」がないから、そういうことを知ることもできず、ただただ自分の脳内にある不安や恐怖という名のモンスターを増強させているだけではないでしょうか。

デザインのお仕事は楽しくて素敵なお仕事だと思います。

ですが、たくさんの社会との関わり合いの中から発生するお仕事なので、不快なことも多々あるお仕事だと思います。

私達は広告業界というものに属しているわけですが、誰に対して「広く告げる」のか?

社会の誰かに対して広く告げるお仕事です。

知らない誰かのことを考えて、その人に誰かの代わりに告げるお仕事です。

他人と他人の接点において発生するお仕事です。

他人との接点がない、他人との接点が少ないということは、すごく大きなハンデだと思います。

ただ、そういう中で

「何かを作るお仕事をしてみたい」
「デザイナーになりたい」

という方は、デザインのスキル・能力を訓練していくのと同じぐらいに、社会に参加する、他人との接点を増やしていくチャレンジをして欲しいです。

自分との対話じゃなく、他人との対話からコミュニケーション能力、人を思いやる力を身につけていってほしいです。

アイデアの源泉を自分の中に求めるより、外にも目を向けないと薄っぺらいものにしかならないはず。

そういう方々は年代関係なく、いらっしゃるというのも現代社会の抱える課題だと思います。

私は「無理にデザイナーを目指さなくていいんじゃないですか?」って思ってます。

目の前で苦しんでる方を見て、楽しめるような性格の持ち主でもなく。

やりたい人がやればいい。

数ある職業のひとつです。

職業関係なく、みんなが社会に参加できるようになれば、と切に願います。

著者

著者

大阪本町制作所デザインスクール代表。講師。株式会社大阪本町制作所 代表取締役。初老のおっさん。