2023.07.15

努力はしなくていいけど、準備はしないといけない。

坂元剛、47歳。

説教くさい話ばかりになってしまう。

基本的に幼少期からフザけてたり、社会から逃げてる間に47年経ってた社会不適合者。

運だけで生きてきた人間なので偉そうにいう権利は1デシリットルもないという前提で。

私が大嫌いなものの一つに「努力真理教」があります。

努力できる人はめちゃくちゃ尊敬します。

生徒さんの中に努力できる方が何人もいますが、そういう方が報われるべきだと思いますし、そのためにできることがあるならば、全力を尽くします。

が。

しかし。

人に努力を強いる人が嫌いなんです。

「俺は若い頃に努力したから今の自分がある」

「だから、お前たちも努力しろ」

AだからBと解釈できない構文なのです。

あなたが自分で努力をしたと思ってるなら、それでいいでしょう。

そんなもん、チラシの裏にでも書いておけばいい話で、他人にとってはどうでもいい話だったりします。

努力したかどうかは他人が評価する話で、自分で宣言する話ではないと思ってます。

中には、自他ともに認める努力をした人もいるんでしょうけど、私の感覚では本当に努力をしてる人で自慢してくる人を見たことがないのです。

ということで、生徒の皆様にも

「努力なんてしなくていい」

とお伝えします。

「本当にやりたければ勝手にやるでしょうし、やらないってことはやりたくないってことだから、やらなくていいんじゃないですか?」

これが私の姿勢。

やりたきゃやればいいし、やりたくなければやらなければいい。

世の中たくさんの仕事があるので、無理にデザイン職を目指さなくても。

ただし。

目標達成のために足りないものがあるのなら、準備はしないといけません。

うちに入学される方々の多くの方はプロのデザイナーへの就職を目指していると思うので、それに見合うものを現状持ち合わせていないのであれば、身に付けておかないといけません。

それぞれの人の状況(人生観、デザイナーとしての目標、業界、人格、向き・不向き、技能、年齢、職業経験等)によって必要となるものは変わるでしょうが、それらを準備せずにいい結果が出ないのだとすれば、それは単なる準備不足です。

以前に社員の方に「人生で一番大きな買い物は何ですか?」と聞かれたことがあります。

「雇用=買い物」と言い切るのは違うのかもしれませんが、私にとって雇用が一番大きな買い物になります。

雇う側に立ったことがない方々を見てると「雇う側が背負うリスク」というものはかなり軽視されているように感じます。

「あなたを雇用したのは正しかった」と思わせないといけないし、それぐらいの気概は欲しいです。

準備ぐらいはしようよ、です。

準備もできないんなら、技能が求められる業界で雇用に見合う価値はないということなので、諦めるしかないです。

うちのスクールの場合は、一応私という道先案内人もいるので、その準備がそんなに大変なことだとは思ってません。

ですが、その準備すらできる人が貴重なのが、現代社会なんだろうとは分析しています。

デザイナーとしての、クリエイターやビジネスマンとしての向き不向きより、準備できるかどうかの第一ハードルで脱落してしまう方が多い、この世の中。

「準備できる人」は生きていけるんじゃないだろうか、と思う今日この頃。

2023.07.10

人生のゴールド免許

私は何を隠そうゴールド免許保持者です。
以前は免停になり、交差点で交通安全を啓蒙する活動をやらされたりしましたが、すっかりゴールド免許保持者です。

急に運転マナーやルールへの意識が高まったのか。
急にドライビングテクニックが向上したのか。

ということもなく、ただただ

「たまにしか車に乗らなくなった」

のが理由です。

そうです。

「車の運転をしないこと」が「最良のドライバー」になるわけです。

さて。

通知表に毎回「調子に乗りすぎるところがあります」と書かれていた小・中学生時代。

しょっちゅう怒られてました。

学校内では

・怒られる子…ダメな子
・怒られない子…いい子

という評価基準が用いられたような気がします。

「怒られる子」の中にもいくつかタイプがあるんだと思うんですが、私はただひたすらに「他者を笑わせたい」が起因だったかと思います。

それが授業やクラス活動を時に妨害していたのでしょう。

それはダメなことです。

うちの息子だったら蹴飛ばしてもらっても結構です。

「他者を笑わせる」という、自分で勝手に決めた「私が生まれてきた理由」を遂行するために、怒られることを厭わずフザけていたはずです(ただ遊んでただけのような気もしますが、とりあえずそういうことで)。

でも、多くの子は「怒られない」が行動基準になっていたように感じます。

「怒られない、笑われない、はみ出ないようにする」の最善策は「何もしない」になってしまう。

何も行動しなければ、怒られることもなく、内申書に響くこともない。
親を呼ばれることもないし、周りから嫌われることもない。

というような教育を直接的じゃないにしても、され続けて人格形成においてとても大切な時期を多くの方が過ごしてしまう。

そして、大学・専門学校・高校を卒業し、職に就く。

「何もしない」がベストな選択肢であった場所から、急に「何かをする」を求められる。

10代の多感な時期、子どもから大人に切り替わる時の行動指針が「何もしない」だった方々に、

「自分で考えて、行動すること」

を急に求める。

「何もしない」はやる気がない人、もしくは無能の烙印を押される理不尽さ。

私は授業時に「デザインは、考えてつくること」ってお伝えしていますが、それまでの人生の中で「自分で考えて行動する」の訓練(遊びでも何でもいいんですが)がされてない人にとっては相当しんどいだろうなって思います。

私達は起きてても寝てても五感を通じて、ずっと情報収集しっ放しです。

「何かをやろうとする」状態は五感をより鋭くさせるでしょう。

「何もやろうとしない」状態は五感を鈍くさせるのではないでしょうか。

その閉ざされた五感を通じて得た情報で構成された想像力は豊かなものになるとは思えません。

人格が大人になってから変わるのは相当難しいと思います。

余程の危機感か覚悟的な何かがなければ無理じゃないかなって思ってます。

「何かをする」をずっと求めてきた人らの選手権がデザイン業界やクリエイティブ業界って勝手に思ってます。

そういう人間たちと一緒に仕事をしていくんだから、ゴールド免許を求めてきた人生から、免停を何回も食らっても車の運転にチャレンジする人になるしかないと思う夏の日の1993でした。

2023.07.03

Webデザイナーになるために必要なこと

「Webデザイナーを目指して学んだけど、Webデザイナーとしてなかなか就職できない」方を多く見ます。

おかげさまで、卒業生の多くがWebデザイナーとして就職する弊校代表の私の目には、そういう方々は戦略を間違っているように映ります。

「Webデザイナー 必要なこと」という検索ワードで調べてみました。

・デザイン力
・デザインソフト(Illustrator、Photoshopのスキル)
・コーディング
・プログラミング
・ビジネススキル
・マネジメントスキル
・自分でスキルを磨く方法
・資格
・企画力
・WordPress
・UIデザイン/UXデザイン
・コンセプト設計
・コミュニケーション能力

無限にあります…。
プロでもそれら全てをできる人は限りなく少ないのでは…。
トータルでできればできるほど、ひとつひとつのレベルは浅くなりがちなはず。

なのに、就職を目指す方は全部を身に付けようとする。

結果的に、ひとつひとつが未経験者に毛が生えたぐらいのレベル、採用に値しないレベルになりがち。

プロの言う「できる」と、プロじゃない方の言う「できる」はおそらく全然レベルが違います。

ということで、弊校で行っている戦略を。

(ただ、10戦10勝というわけではないです。採用企業によって重視する点は異なります。ですが、どこかにヒットすればいいのです。)

デザイナーに絶対的に必要なスキル

デザイン力でしょう。

(そこで勝負していないWeb制作会社もあります。そういう企業からは高評価はされないかもしれません。)

上流やら下流やら言いますが(詳しくは各自調査)、ほとんどの新人デザイナー方に求められるのは、最終アウトプットの部分かと思います。

私達デザイナーのお仕事は情報を整理し、色と形のロジックで伝達しないといけません。

よりわかりやすく、より効果的に。

全くゼロの状態の方を雇用して、その方の成長を祈るのは雇用側としてリスクが高すぎるのです。

指示を出したら「ある程度」作れる状態じゃないと採用しづらいのです。

なのですが、ほとんどのデザインスクール(オンライン、クラス制に関わらず)は「デザインの4原則…近接、整列、反復、対比」までしか伝えません。

それらを身につけるための反復練習はほとんどカリキュラムに含まれません。

結局は「スクール入学時点で勘が鋭い人」しか、Web制作会社の採用に値する能力は身につかないのが現状かと思います。

デザイン教育の有無を確かめる方法

スクール入学前に「デザイン教育の有無」について確認し、具体的な内容を確認するべきです。

どのような理論か?
どのような講師か?
どのように感覚を身に付けていけるのか?

次に「平均レベルぐらいの生徒の方の制作物」を見せてもらうべきです。

ほとんどのスクールは「過去イチ優秀だった生徒の方の制作物」を卒業生の実績として見せてくれるはずです。

「どこで学んでも、持ち前の勘、頭脳、精神力で成し遂げてしまう人」の実績を見ても、自分がそのタイプじゃない限り、無意味です。

デザインの良し悪しを判断するのは難しいのかもしれませんが、「普段自分が目にするWebサイトと比較してどうか?」を見るしかないです。

その差すらわからないとすれば、その時点でこの業界で働いて一人前になっていくまでには時間はかかると思います(無理だとは思いませんが、何らかのきっかけが必要だと思います)。

Webコーディングは必要?不要?

私は「できた方がいい」という考えです。

地域差がありそうですが、Webデザイナーには

①Webデザインのみ
②Webデザイン+コーディング

①と②の2パターンがあります。

弊校の卒業生は、大阪という土地柄か①の制作会社に入社される方が多いです。
「就職してから、全くコードを書いてません…」とよく聞きます。

ですが、コーディングを学んだ方々は、Webデザインを行うときの「できること」「できないこと」「すべきこと」「ダメなこと」等を理解して行うので、全くコーディングを行ったことがない方よりかは、数歩先をいっているのではないでしょうか。

私は広告デザインはできても、車のデザインはできません。

車が走る理屈、求められる条件等々を全く理解していないからです。

ただ、現実問題として①で「コーディングは全くわからない」Webデザイナーが現場に多いのは事実です。

なので、「Webデザイナーになるために絶対的にWebコーディングは必要か?」と問われると、現状イエスとは言えません。

ただし、②の会社に入社しようとするなら、Webコーディング必須ですね。

「Webデザイナーへの就職の可能性を上げる」を考えるなら、Webコーディングを学んでおいて損はないと思います。

必要なデザインソフトスキルは?

・Figma
・XD
・Photoshop
・Illustrator

「全部マスターせねば!」との発言と共に就活で苦しんでる方を何度か見たことあります。

現場を経ずにプロレベルで「マスター」にはなるのは難しいでしょうし、プロでも全てを使いこなす方は希少ではないでしょうか。

「今回、Figmaの案件来た〜。Figma覚えな…。」的に新たなソフトを使わないといけない状況になり、必然的に使っていく。

その回数が増えれば増えるほど、より操作力は上がるでしょうし、そうじゃなければ、そんなに必要でもない。

Figma、XDはここ数年に使用機会が増えたWebデザインソフトです。

ということは、今年、来年、数年後には新たなWebデザインソフトが出てくる可能性はありますし、その度に私達は新たなWebデザインソフトにチャレンジしないといけません。

Photoshop、Illustratorはそれらを使ってWebデザインもできますが、部品作成ソフトとしての意味合いが強くなっているのかもしれません。

Photoshop、Illustratorの方がWebデザイン、WebレイアウトソフトであるFigma、XDより取っ掛かりに覚えるハードルは高いみたいです。

広告デザインは形を変えながらも残っていくと予想しますが、Webデザインがいつまで今の需要や形を維持していくかは不明です。

紙、Webと媒体問わずに詳細なデザインを可能にするPhotoshop、Illustratorは「デザイナー」という職種を目指すなら必須条件かと思います。

今後、それに変わるデザインソフトが出てくるかもしれませんが、その時はそのデザインソフトを覚えるしかないです。

ただ、「新しいソフトが、今のソフトより使い勝手が悪い」ということは想像し難いので、今のPhotoshop、Illustratorを使えてたら、難しくは感じないのではないでしょうか。

と書くと、「Figma、XDは不要」と書いてるように見えるかもですが、そういうわけではなく、興味・好奇心を持って「Figmaでつくってみました」「XDでつくってみました」とチャレンジできる方の方が、企業からの評価は高いはずです。

「新たな学びがめんどくさい人」と、「新たな学びが楽しい人」とでは、その後の実力に大きな差がつく可能性は高いですし。

あとの能力は不要?

・プログラミング
・ビジネススキル
・マネジメントスキル
・自分でスキルを磨く方法
・資格
・企画力
・WordPress
・UIデザイン/UXデザイン
・コンセプト設計
・コミュニケーション能力

以上は説明を省いたところです。

独学でやれることはたかが知れてると思います。
それが採用の評価になるとも考えにくいです。

マネジメント、企画、コミュニケーションなどは、その人の資質の部分も大きいと思います。

向いてないのに無理にやろうとするより、自分の強みをどこで活かせるかを考えて、それに基づいた学習であったり、ポートフォリオを作成するのが賢明なのではないでしょうか。

まとめ

ということで何が言いたいかをまとめると

・全部を学ぼうとするな
・最低限のデザイン力を身に付けよう
・コーディングはやっておいて損はない
・Photoshop、Illustratorは使えるように

でした。

Webデザイナーは体力、精神力、知力の中では、知力が一番求められる職業だと思います。

知的に戦略を練って学習計画を立てたいですし、そういう方がWebデザイナーへの道筋が開かれやすいのではないでしょうか。

著者

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大阪本町制作所デザインスクール代表。講師。株式会社大阪本町制作所 代表取締役。初老のおっさん。