2023.06.23

スクールから見える現代社会が抱える課題。

そのまんまのタイトルで我ながら芸がないなと思いつつ、「接点」とかぼかしたタイトルにすると誰も読んでくれないというジレンマ(どっちみち全世界の5人ぐらいしか読んでいないとかはさておき)。

コロナ以後の社会の変遷はこれまで散々書き続けたかと思うので、そこはさておき、その結果として以前より弊スクールに多く集まる方の傾向から、現代社会が抱える課題を考えてみよう、と。

マンツーマンスタイルの授業に興味を持っていただけるのか、社会に参加できない方々も多く来られます。

「就職したことがない」

「働いていない」

20代前半なら、そういう時期もあるのかなと思うのですが、20代後半以上だと社会への不安、恐怖などを抱えてる場合がほとんどだと思います。

「デザイナーとしてのスキルを身に付けて、社会に出れるように」

と一念発起することは素晴らしいことです。

「社会性」という言葉があるように、社会の中で身に付いていく能力があるんだと思います。

・忍耐力
・継続力
・失敗を乗り越える力
・失敗を気にしない力
・人の話を聞く力
・自分の脳内にあることを伝える力
・事の流れから文脈を読み取る力
・社会の「当たり前」への理解
・情報量
・他人の気持ちを考える力
・他人を模倣する力

思いつくままに書きましたが。

社会との接点が少ない方の抱える課題は

「デザイナーとしてのスキル、能力がない」

ではなく

「社会性がない」

です。

デザイナーとしてのスキル・能力はその次のステップだと思います。

①自分の苦手なことに意識を集中してしまう人
②過去の不快な体験に囚われてしまう人

ほとんどが①か②、もしくは両方だと思います。

社会に出ると、そもそも完全な人の方が珍しいことを知れます。
社会に出ると、不快な体験もあるけど、楽しい体験もたくさんあること。不快な体験なしで、楽しい体験だけを積み重ねることは結構難しいことを知れます。

でも、そもそもの「社会に出る」がないから、そういうことを知ることもできず、ただただ自分の脳内にある不安や恐怖という名のモンスターを増強させているだけではないでしょうか。

デザインのお仕事は楽しくて素敵なお仕事だと思います。

ですが、たくさんの社会との関わり合いの中から発生するお仕事なので、不快なことも多々あるお仕事だと思います。

私達は広告業界というものに属しているわけですが、誰に対して「広く告げる」のか?

社会の誰かに対して広く告げるお仕事です。

知らない誰かのことを考えて、その人に誰かの代わりに告げるお仕事です。

他人と他人の接点において発生するお仕事です。

他人との接点がない、他人との接点が少ないということは、すごく大きなハンデだと思います。

ただ、そういう中で

「何かを作るお仕事をしてみたい」
「デザイナーになりたい」

という方は、デザインのスキル・能力を訓練していくのと同じぐらいに、社会に参加する、他人との接点を増やしていくチャレンジをして欲しいです。

自分との対話じゃなく、他人との対話からコミュニケーション能力、人を思いやる力を身につけていってほしいです。

アイデアの源泉を自分の中に求めるより、外にも目を向けないと薄っぺらいものにしかならないはず。

そういう方々は年代関係なく、いらっしゃるというのも現代社会の抱える課題だと思います。

私は「無理にデザイナーを目指さなくていいんじゃないですか?」って思ってます。

目の前で苦しんでる方を見て、楽しめるような性格の持ち主でもなく。

やりたい人がやればいい。

数ある職業のひとつです。

職業関係なく、みんなが社会に参加できるようになれば、と切に願います。

著者

著者

大阪本町制作所デザインスクール代表。講師。株式会社大阪本町制作所 代表取締役。初老のおっさん。