2024.10.15

素人がつくった広告が多くを占める時代

デザインにおいて、プロと素人の能力の差は大きい。

私がスクール等を通じてお教えさせていただく方には、プロとして何年も経験を積んできた方はいらっしゃらないので、その差を少しでも埋めていくのが私だったりスクールの役割と思ってきました。

が、しかし。

いま、私が日常の中で見かける広告のうち、「プロ」がつくっているものは1〜2割。

残りの8〜9割は素人の方がつくったんだなと思っています。

当然、ここでいうプロとは「報酬と引き換えに業務をする」という意味ではなく、「専門的な技能を持った人」という意味で使ってます。

そこにあるいろんな背景を個人的に推測すると

・プロの制作費の高さ
・プロに発注する手間
・プロが作っても素人が作っても効果に差がない
・デザイン会社、制作会社に入ってイチからプロの技能を身に付けたくても採用へのハードルが高い
・企業側も雇用に対するリスクが高い(解雇できない、健康保険料の高さ、すぐに退職する、育つまでに時間がかかる)
・安価でも制作する素人が大量にいる

等でしょうか。

私達の「プロ」へのこだわりは、「現実社会」とは遠く離れた場所にある、単なる理想論なのかもしれません。

私は自分の目の前のいる教え子さんたちには、高い技能を武器に、人から必要とされる、選べる側の人になって欲しいと思っています。

その軸が変わることはないですが、社会の変化に自分や会社も合わせていかねばと思う今日この頃。

2024.10.09

最近の生徒の方の傾向

開校12年と半年ほど。

時が経てば、社会も変わり、生徒の方の傾向も変わるわけです。

ということで、最近の生徒の方の傾向を。

就職を目指す大学生

グラフィックデザイナー、Webデザイナーへの就職を目指す大学3年生、4年生の方々。

「学校に通う」が日常な方々なので、受講ペースもコンスタントな方が多いです。

デザイナー、Webデザイナーを目指すなら、若いに越したことはないです。

美大や芸大ではないけどデザイン職への就職を目指す方が、弊校を見つけてくださったパターンですね。

副業、転職を目指す30代〜40代の方

「デザインをお仕事にすることは簡単なことではない」

と認識していただき、個別で受講できる弊校を見つけてくださった方々。

デザインソフトの操作、Webコーディング、デザインの理論、制作と初めてすることばかりですが、一つ一つ真面目に学んでいる生徒の方々は着実に実力をつけています。

その他のパターン

・美大で学んだけど、美大で学べなかったことを学びデザイナーへの転職を目指す方
・広報や資料作成等を内部制作化したい企業の代表様
・デザインやWebコーディング等経験がなかったり、浅かったりするところを学びたいインハウスデザイナーの方
・未経験から転職するために仕事後やお休みの日に通学される方
・未経験から転職するために前職を退職し、集中して通学される方

個人の方から法人の方まで幅広くご受講いただいていますが、そんな感じですね。

「稼ぐ」を謳うスクールが増える中で、「学ぶ」を目的とした弊校を見つけてくださった方々。

完全個別授業。

デザインを論理から学び、制作する力を身に付ける。

本来当たり前であるべきことを当たり前にやっている数少ないスクールをどうにかこうにか見つけてくださった方々。

真面目にコツコツ学ぶ方が多い、というのが最近の傾向ですね。

とりあえず、そういう方々の力にならねば!

2024.09.09

自分の限界点

未経験からデザイナーへの就職を目指す方が多い弊スクール。

ポートフォリオを作成していく段階で心折れてデザイナーへの就職を諦める方もいるのだと思います。(知らないところでポートフォリオをブラッシュアップさせ、就職している方もいるのかもしれませんが)

100の労力で就職できるだけのポートフォリオを作成できる人もいれば、5の労力で同じことを成す人もいるのかもしれません。

それが向き不向きだったり、持って生まれてきたものの差、育ってきた環境の差なんだろうと思います。

「ポートフォリオを作成し、デザイナーとして就職する」

というものが求める労力は、私の中では「9割ぐらいの人は達成できるんじゃないの?」って思ってます。

私が自分自身の人生を振り返った時に

①めちゃくちゃ大変な乗り越える壁
②そこそこには大変な乗り越える壁
③ちょっとの準備で乗り越えられた壁
④あっさり乗り越えられて、もはや壁ですらない壁

と4段階の壁があるとすれば、②ぐらいのレベル感だと思ってます。

あくまで、1,000人近い生徒の方と接してきてですが「この人は絵を使った情報伝達(私の中でのおおまかなグラフィック・ウェブデザイン感)を身に付けるのは難しいだろう」と思う人はいます。

音の抑揚をうまく再現できない私が歌をうまく歌うのと同じぐらい難しいのでは?と思います。

あと「文房具や絵の具であればできること、日常生活でやってることをパソコンソフトやパソコンに置き換えられない」という方もいます。

これも仕方がないことって思います。

私も逆上がり、跳び箱、駐車等、他の人が当たり前にできるけど、まったくできないことが多々あります。

できないなりに工夫してカバーするだけの思いやメリットがあるのなら別ですが、そこまでして得体も知れぬデザインという業界を目指す方は今のところ知らないです。

ということで、

「②そこそこには大変な乗り越える壁」

を乗り越える作業が「デザイナー・Webデザイナーへの就職」なんだと思います。

でも、「②そこそこには大変な乗り越える壁」が「①めちゃくちゃ大変な乗り越える壁」に見えてしまうのが人間です。

あてもない高い壁を必死にもがいて登ってやろうって思うのはなかなか難しいです。

もっと低い壁を探す方が堅実な気がします。

ただ、人生って「②そこそこには大変な乗り越える壁」の乗り越えようとして、もがき続ける繰り返しだなと、強く思っています。

ポートフォリオをブラッシュアップさせて、デザイナー・Webデザイナーへの就職をなし得てきた方々は皆、自分の限界点を乗り越えたんじゃないでしょうか。

「おー!ここまでできるようになったんや〜」

と感動させられることが多いです。

人間は脳にリミッターが入っていて、無理しないように限界点より低めに設定されていると言われています。

なので、自分のリミッターに歯向かって、そこを乗り越えようとしない限りは、リミッターは低く設定されたままです。

低く設定された自分の限界点の中でどう職業選択し、どう生きるか?を考える。

人それぞれなのでそれも個々人の自由。

でも、自分の限界点を乗り越えた経験は新たな景色を見せてくれます。

何者でもない、出来のよくない自分に、ちょっとは自信を持てたり、肯定できたり、時にダメな自分も許せるようになったり。

そういう経験をした人の強みを感じます。

より、自分の限界点を超える経験を一度して欲しいなって思います。

と思って、スクールというお仕事をしています。

お金を払うだけでは買えない経験の差が、あとの人生を豊かなものにしていくのではって考えてます。

著者

著者

大阪本町制作所デザインスクール代表。講師。株式会社大阪本町制作所 代表取締役。初老のおっさん。